1B第72回 浦安市少年野球大会準々決勝(vs浦安ジュニアラッキーズ)

4月16日、1回戦のV候補・浦安ニューラッキーズに勝利したベイマリ1B

17日、彼らは自信に身を纏い、堂々とした表情で高洲球場のグラウンドに現れた。

この試合、みんな知っていた。

これまで一緒に戦っていたT君が負けたら最後の公式戦であることを。

だったら勝つしかない。

単純にして明快。

T君と1分、1秒でも一緒にやるには、勝利こそが唯一のアンサー。

気合い十分の中始まった2回戦。

不運なイレギュラーもあって、初回に先制されたものの、1番、2番の連打から流れを掴み一気に逆転。

序盤のベイマリは、1回戦の再来を思わせる上々の立ち上がりだった。

ところがエラーから3回に逆転されると、連投の疲れがみえたか制球を乱し、先発、2番手と4回、5回に、まさかの計8失点。5回表が終わった時点で11対3と一方的な展開に。

  

「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」

時間から言って最終回であろう5回裏、先頭バッターが四球で出塁する盗塁死でワンナウト。

もはやこれまで、誰もが思っても不思議じゃなかった。

しかし彼らは、決して諦めていなかった。

7番のラッキーボーイが相手エラーで2塁へ。そして8番が左中間にヒットで続き、そしてT君に打席が回った。

スタンドからは1A、3部の仲間が必死に声を張り上げ、T君の最後打席を見守っていた。

「フーーッ」

バッターボックスで大きな息を吐くT君。

打たせて下さい」

そして

カキーーーーーーン!!!

たくさんの思いをのせて白球がライト線に飛んだ。

「フェアフェア!」

T君の執念は見事、タイムリーヒットとなって反撃の狼煙を上げた。

「よっしゃ!」

1塁ベース上で何度もガッツポーズをするT君。

1分、1秒でも一緒に野球をやろう——————

思い出したかのように、そこから怒濤の攻撃が始まった。

1番がこの日、2本目のスリーベースで2点を追加。

そして2番が本日、猛打賞となる3本目のヒットをレフトに運び、ついには8対11と3点差に迫った。

  

最後はあと一歩及ばず、2回戦で姿を消すことになった。

しかし当初は無謀とさえ言われた1部のトーナメントに挑み、そしてV候補に勝ち、2回戦も素晴らしい戦いを見せてくれた彼らに拍手を贈りたい。

T君と一緒にやる最後の公式戦。

悔しくて、悲しくて土埃まみれの涙で顔は汚かったけど、今日の試合はきっと一生の宝物になるに違いない。

  

試合後、前日の風で桜の花が散っていた高洲公園、もう新緑の葉が顔を出していた。

明日からお互い、新しいスタート。

また、いつか、きっと